
美容医療の中でも、ここ数年で一気に認知度が高まった施術のひとつが「糸リフト」です。メスを使わず、ダウンタイムも比較的短いとされ、手軽にたるみ改善を目指せる施術として注目を集めてきました。一方で、SNSや口コミサイトでは「糸リフトは金ドブ」「やってもすぐ戻る」「効果が分からなかった」といったネガティブな声も少なくありません。
なぜ糸リフトは、これほど評価が分かれるのでしょうか。本当に“お金を捨てる施術”なのでしょうか。それとも、使い方や期待値のズレが誤解を生んでいるだけなのでしょうか。この記事では、糸リフトが金ドブと言われる理由を冷静に整理しつつ、どんな人に向いていて、どんな人には向かないのかを、過度な擁護も否定もせずに掘り下げていきます。
糸リフトとはどんな施術なのか
糸リフトとは、医療用の特殊な糸を皮下に挿入し、たるみを物理的に引き上げたり、肌内部に刺激を与えたりする美容医療の施術です。糸にはコグと呼ばれるトゲのような構造が付いているものや、溶ける素材でできたものなど、さまざまな種類があります。
多くの場合、糸を挿入することでフェイスラインや頬のもたつきを引き上げ、見た目の印象をすっきりさせることを目的としています。また、糸が体内で吸収される過程でコラーゲン生成が促されるとされ、ハリ感の向上を期待する人もいます。
「切らずにリフトアップできる」「ダウンタイムが短い」という言葉が先行しがちですが、糸リフトはあくまで“軽度〜中等度のたるみ”に対する施術であり、フェイスリフト手術の代替ではありません。この前提を理解していないと、後々「思っていたのと違う」と感じやすくなります。
なぜ「金ドブ」と言われるのか
糸リフトが金ドブと言われる最大の理由は、効果に対する期待値と現実のギャップです。広告やSNSでは、劇的に引き上がったビフォーアフターが強調されることがあります。しかし実際には、糸リフトの変化は比較的マイルドで、劇的な若返りを求める人にとっては物足りなく感じられることも少なくありません。
また、効果の持続期間が永続的ではない点も、不満につながりやすい要因です。糸は時間とともに体内で吸収され、引き上げ効果も徐々に弱まります。そのため、「数十万円かけたのに、半年〜1年で戻った」と感じる人が出てきます。この体験が、「結局お金を捨てただけだった」という印象を強めてしまうのです。
さらに、糸の本数や種類によって価格が大きく変わり、費用が分かりにくい点も、金ドブ感を助長します。十分な説明がないまま高額なプランを選んでしまうと、納得感のない結果になりやすくなります。
効果が「分からない」と感じる理由
糸リフトを受けた人の中には、「正直、変わったか分からない」という感想を持つ人もいます。これは、糸リフトの効果が“劇的な変化”ではなく、“微調整”に近い性質を持つからです。
もともとたるみが軽度な人の場合、ビフォーアフターの差が自分では認識しづらいことがあります。一方で、たるみが強い人の場合は、糸リフトだけでは引き上げが足りず、期待していた変化に届かないケースもあります。
つまり、「変化が小さすぎる」か「求める変化に足りない」か、そのどちらかになりやすいのです。この中間ゾーンにうまくハマった人だけが、「ちょうど良かった」と満足しやすい施術だと言えます。
糸リフトの本当の役割とは
糸リフトの役割は、「たるみを根本的に治す」ことではありません。正確に言えば、「今あるたるみを少し整え、進行を緩やかにする」という位置づけに近い施術です。
年齢とともに顔の脂肪や皮膚は重力の影響を受け、少しずつ下がっていきます。糸リフトは、その流れに軽くブレーキをかけるような存在です。大きく引き戻すというより、「今の状態をキープしやすくする」施術だと理解した方が、満足度は上がります。
この役割を知らずに、「一気に若返る」「数年前の顔に戻る」と期待すると、どうしても金ドブ感につながってしまいます。
向いている人と向いていない人の違い
糸リフトが向いているのは、たるみが出始めた初期〜中期で、フェイスラインのもたつきや頬の下垂が気になり始めた人です。また、大きな変化よりも「少し整えたい」「予防的にやりたい」という考え方の人は、比較的満足しやすい傾向があります。
一方で、すでにたるみが進行している人や、皮膚の余りが目立つ人、フェイスリフト手術レベルの変化を求めている人には、糸リフトは物足りなく感じやすくなります。また、一度の施術で完結すると思っている人や、コスパ最優先で考える人にも向きにくい施術です。
糸リフトは、効果の“量”より“質”を重視できる人向けの施術だと言えるでしょう。
医師とデザインで結果が左右されやすい現実
糸リフトは、施術する医師の技術やデザイン力によって結果の差が出やすい施術でもあります。糸をどの層に、どの角度で、何本入れるかによって、仕上がりや違和感の有無が大きく変わります。
経験の浅い医師や、流れ作業的に施術を行うクリニックでは、十分な効果を感じられなかったり、不自然な引きつれを感じたりすることもあります。このような体験が、「糸リフト=失敗」というイメージを強めてしまう要因にもなっています。
糸リフトは、誰がやっても同じ結果になる施術ではありません。この点を理解せずに受けてしまうと、後悔につながりやすくなります。
「高いからダメ」ではないという視点
糸リフトは、決して安い施術ではありません。しかし、「高い=金ドブ」と単純に結論づけるのは早計です。
たとえば、定期的なスキンケアやエステ、他の美容施術と組み合わせることで、糸リフトの効果を活かしやすくなるケースもあります。単体で万能な施術ではないからこそ、全体設計の一部として考える必要があります。
逆に、「これ一発で全部解決したい」という期待を背負わせると、どうしてもコスパが悪く感じられてしまいます。
糸リフトが“金ドブ”になる瞬間
糸リフトが金ドブになるのは、施術そのものが悪いからではなく、選び方と期待値が合っていないときです。
自分のたるみの状態を正しく理解せず、必要以上に本数を入れたり、説明を十分に受けないまま契約したりすると、「何だったんだろう」という気持ちが残りやすくなります。
また、流行っているから、周りがやっているからという理由だけで選ぶと、満足度は下がりがちです。
まとめ:糸リフトは金ドブかどうかは“人次第”
糸リフトは、万人にとって神施術でもなければ、完全な金ドブでもありません。その評価は、受ける人の状態、目的、期待値、そして施術者によって大きく変わります。
「少し整えたい」「今の状態をキープしたい」「切る施術はまだ怖い」という人にとっては、糸リフトは十分に意味のある選択肢です。一方で、「劇的に若返りたい」「一度で完結したい」という人にとっては、物足りなく、結果的に後悔しやすい施術になります。
糸リフトは、魔法ではなく“道具”です。正しい場面で、正しく使えば価値を発揮しますが、使いどころを間違えれば無駄に感じられてしまいます。
だからこそ、「金ドブかどうか」を決める前に、自分が何を求めているのか、どこまでの変化を望んでいるのかを一度立ち止まって考えることが大切です。糸リフトは、その問いに正直に向き合った人にだけ、意味を持つ施術なのかもしれません。


